救急の裏に『転院搬送』あり、しかも地域格差は3倍。
昨日、久しぶりに救急車に同乗しました。
いつも元気な婆ちゃんが血圧80/40で失禁してたので(排便による迷走神経反射?だったのか、婆ちゃんはその後病院で元気になりました)。
で、その搬送中の救急車内で救急救命士の方と話していたら、「鹿児島は転院搬送」が非常に多いのです…と悲しげに言っておられました。
ちなみに「転院搬送」とは、『医療機関に収容されている傷病者を他の医療機関へ搬送すること』で、その中には緊急性がなく特に救命処置の必要性もない、だけど高齢だし救急車で移動してもらったほうが安心【無料だし】という事例も少なからず含まれているわけですね。
厚生労働省は当然、
「転院搬送を減らして、救急車の適正利用を!」
と言っております。(転院搬送における救急車の適正利用の推進について http://www.fdma.go.jp/concern/law/tuchi2803/pdf/280331_kyu34.pdf)
で、鹿児島が「転院搬送」が多い?という件、本当かな、と調べてみたら、本当でした(^_^;)
平成29年版 消防白書
ここから、「救急出動件数に占める転院搬送の割合」を計算してグラフにしたのがこちら。
なんと!上位から、大分県・宮崎県・佐賀県・鹿児島県と、九州勢が圧倒的に強いですね(^_^;)。京都や東京などの首都圏と比較してだいたい3倍の転院搬送率。まあ、高齢化率とか、病院間の距離とかも影響あるでしょうけど。
鹿児島県の「地域医療構想」ではこれについて予想通り「医療資源が鹿児島医療圏に集中していることが大きな要因」と推測しています。
でも、そういうのって地方はどの県でも大体同じだし、またよく見ると同じく離島を多く抱えている沖縄県は全国平均以下です。そう考えると、それ以外の要因も大きくありそう…。
病院が多い地域だと、市民の医療依存が強く、またその結果として転院搬送も多いのかもしれませんね。
じゃ、仕方ないか。。。
…で、済ませていいのかな?(-_-;)
ちなみに、コチラの救急の先生の悲痛な嘆き…
「ゴム紐にくくられた老人」
これも胸に響きます。。。
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結局、この患者は我々の厳密な管理なしでは生きられないのだ。最初の入院の時点で寿命といっていい。それを医療の力で先延ばし先延ばしする。ひどく神経を使う仕事なのに、大した意味もない。うんざりする。
医療者と家族と本人の苦痛を伴ったこれらの医療行為は、信仰を持たない日本人にとっての、死を受け入れるための儀式なのだ。我々は司祭だ。疲れ切った司祭が、最期のときにかける言葉はひどく短い。
「手を尽くしましたが、駄目でした。ご臨終です。」
他に一切の説明もしない。説明を求められたこともない。家族からすれば、難しい医学的な説明など聞いても分からないし、最善を尽くした、ということに確信がもてれば十分なのだから。
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このケースにしても、もはや救急なんだかもうよくわからない世界になっていますが、こちらは施設→病院なので、「転院搬送」には含まれません。施設からの搬送、まで含めたらもっとすごい数字になるでしょうね。。
一体日本の救急はどれだけ本当の救急に力をさけているのでしょう…(ノД`)シクシク