Dr.森田の医療・介護ブログ

地域医療・家庭医療の医師&医療経済ジャーナリスト、Dr.森田が綴る医療・介護のブログです。







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資本主義は役割を終えつつあるのか。

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先日放送されたこちらのNHKの番組。資本主義時代の終末像をまざまざと見せつけてくれるような、かなり衝撃的な内容でした。

 

 

マネー・ワールド ~資本主義の未来~第3集 借金に潰される!?

www6.nhk.or.jp

 


番組では、1980年代まで、世界の借金総額とGDPはほぼ同額で推移していたものの、それがいまや借金が大幅に拡大し、グラフのように稼いでいるお金(=GDP)の倍以上の借金となっていると紹介されていました。

IMF(世界通貨機構)が『資本主義の歴史上、大きな危機が迫っている』と警告を発したのも理解できます。

 

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たしかに「借金は資本主義の栄養」とも言われますが、それは借金を返せる程度に健全に経済成長しているときの話。

 

物が溢れて消費が滞っている先進諸国ではすでに経済成長が見込めないので、ダブついて余った資本は貸付先を求めて、これからも成長が見込める地、アジアへ向かっているとのこと。

 

資本はアジア企業に資金を提供し経済は成長します。その一方、資本は地域住民への消費と借金も奨励しているので、地域住民の借金も膨らんでいるようです。

 

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借金は村全体の連帯責任で返済するそうです。まさに資本主義の大きな波が、アジアの山奥まで押し寄せているのですね。ゾッとします。

 

しかし、仮にアジアでの成長が順調にいって、アジアの人々がみんな豊かになったとして、そのアジアの経済成長がプラトーに達したら、次はどうなるのでしょう。

 

市場を拡大し経済を成長させ、そして同時にGDPの倍以上の「借金」を雪だるま式に増やしていった…その途端、成長を見込める市場が眼の前から忽然として消えてしまったら。その時、ダブついた資本はどこへ行くのでしょうか。

 

マレーシアのマハティール首相は、かつて日本の高度経済成長を模倣し劇的な経済成長を成功させた立役者として有名ですが、近年は「身の丈を超えた借金は国を危うくする」として、これまでの「箱物行政」から一転、巨大プロジェクトを凍結したりしているとのこと。

 

安倍さんはいまだに「成長戦略」をガンガン押し出していますが、、日本はどうなるのでしょうかね。

 

番組の最後に、RIZAPの瀬戸社長が

 

「人間の本能として、昨日より今日は良くなっていたい、今日より明日は成長していたい、というのがあると思うんですが、それとどう折り合いをつけるか?」

 

みたいな発言がありましたが…

実はそういうのってここ百年とか限定の話なのではないですかね?
資本主義以前の時代の社会って、非常に時間の流れがゆっくりで、ある意味ほとんど成長してないんですよね。人間の一生の中で、世の中や経済が成長することなんて殆ど無い、生まれた時と死ぬ時を比較して、「家族の地位も経済も社会全体の構造もほぼ相似形」が当たり前だった時代だったでしょう。なので、多分その時代の人達は

 

「今日は昨日のようにご飯にありつけて、怪我もなく過ごせて幸せだな〜。明日もそうだといいな〜。」

 

くらいにしか思っていなかったのではないかな?

 

「経済成長しないと!」とか「成長しないとおいていかれる!」みたいな意識というのは資本主義以降の人間の癖みたいなものなのかもしれませんね。


以上、今回は医療とは全然関係ない話でした(^_^;)

 

 

 

破綻からの奇蹟表紙画像

★★★日本医学ジャーナリスト協会 優秀賞受賞作品(2016) ★★★

 

財政破綻により病院がなくなってしまった夕張市、
しかも高齢化率は市として日本一。 

果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
しかし財政破綻後のデータは、夕張市民に健康被害が 出ていないことを示していた。 

事実、夕張市民は笑顔で生活していた。
「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」
それが事実なら、それはなぜなのか? 

本書は、その要因について、
先生(元夕張市立診療所所長)と 生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。
夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、
また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、
夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。 

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。
本書は、医学的・経済学的な見地から 医療・介護・地域社会の問題を鮮やかに描き出し、

日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

 

森田洋之 著

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